*SWEET LESSON*
尚もあたしの目を見つめる大和。
根負けしたのはあたしの方だった。
もう、澄んだ目を見て居られなかった。
「ダメだよ…。それは、自分の意思じゃないでしょう?
あたしが辞めるって言わなかったら、そう思わなかったんでしょう?」
彼は“今がその時”と言った。
それはあたしの意思を前提に置いているって事だもの。
「あたしに気を使わなくて良いんだよ?
あたしみたいな教師、居ても居なくても変わらないんだから」
だから大和が辞める必要なんてどこにもないんだよ
そう、伝えたのに。
「…何も分かってないんだな」
って。
さっきよりも更に真剣な表情で、あたしの両肩を掴んだ。
「…さっきも言っただろ?
俺は“誰かに勧められてどうにかなるような性格じゃない”って。
さながなんと言おうと、これは俺が決めた事だし
説得されてもどうにもならない。
…それはお前が一番よく分かってるはずだろう?」
それはそう…だろうけど…。
それでも何だか納得がいかなかった。
無理もない。
覚悟を決めていたのに、『ダメだ』と、力でねじ伏せられたのだから。