*SWEET LESSON*
*Two*
頬に、白く光るものが当たったのは
その直後だった。
「雪…」
見上げれば、黒い空に散らばる無数の純白。
綺麗なイルミネーションじゃなくても
街灯の光だけで十分すぎるほどに綺麗だった。
「---行こうか」
ス… と立ち上がり、あたしに手を差し伸べてくる。
「どこに?」
その芸術品のような手をそっと掴んで立ち上がる。
彼はその手をそのままに、
逆の手でそっと自分の唇に触れると
「ナイショ」
と、悪戯に微笑んだ。
向かう先も分からないまま、投げ捨ててあった靴を履かされ
丁度通りかかったタクシーを拾い 暖かい車内へと押し込まれる。
「ここへお願いします」
ポケットに入れていたらしい紙を運転手さんに渡すと、静かに車は動き出す。
彼が何を考えているのか分からなかったけれど
車の中でも繋がれていた手が、不安を取り除いてくれていた。