*SWEET LESSON*
さーて。
今日はもう帰っていいって言われたし。
帰って、大和と出かけようかなッ
コートを手に持ち、バックを肩にかけて
「お疲れ様でーす」
人もまばらな職員室を出る。
職員玄関から外に出ると、春先の、土の匂いが鼻を擽る。
それを体中に取り込む様に、大きく伸びをした。
と、その時。
「すっげー顔ッ」
空を向いている筈の視線が、何故かヒトの顔を捉えていてッ
「~~~~~~~!?」
声にならない音を立てながら後ずさりしたッ
「大和!?」
そこには、とっくに帰った筈の大和が、制服のまま立っていて。
「…今日で最後だし、一緒に帰ろうと思って」
って、あたしをドキっとさせてくれる。
「うん、どっか寄って帰ろうか」
コートを羽織っていれば、大学生位に見える。
どうせ、うちの学校中に知れ渡ってる関係なのだから
顔バレも気にしなくていい。
何にも気にしなくていい事がこんなに清々しいなんて、知らなかった。