*SWEET LESSON*
「っつーか、アキラって誰だよ。男だよな?
あんた、ゲイ?」
いやいや…そんなに刺激していいの?
でも、何回も出てきた『アキラ』に
あたしも違和感があった。
女の子…でも居なくはないだろうけど、『保健室で』とも言っていたから答えは一つしかないじゃん。
だって男子校なんだもん…
「俺は…ゲイじゃない。ただ、アキラが好きなだけだ」
「…そ。だけどな。そのアキラ君が俺を好きだと言ってあんたから離れたのは俺には関係ない。
だって俺しらねぇもん。
大体、俺はストレートだ!!!!」
腰に手を当て、ふん反り返るように言いきっているけど
何だか間抜けに見える。
現に後ろから「ハッ」と失笑の声が聞こえた位だから。
「そんな…じゃあ…俺の立場って…」
へにゃりと地面に座り込んでしまった安本さん。
でも、なんとなく気持ちはわかる。
柳瀬さんがゲイやバイなら言いたいだけ言ってスッキリすることもできたのに
よりによってストレート…しかも女好きで通ってる人に好きな人の気持ちを奪われたとなれば
自分を責めるより他はないだろう…。
あたしは完ぺきに被害者だったけれど、この時ばかりは安本さんに同情した。