*SWEET LESSON*
先程ののれんをくぐり抜けると、薄暗かった空は益々闇の色を濃くしていた。
それでも。
街の灯りが闇に呑み込まれる事を阻止していたせいで
昼間の様にここは明るかった。
「………」
これから、どうしようか。
信号で止まったら降りる?
いや、あたしは歩道側じゃないから 引かれる可能性が…
それに、隣に座る大和がそれを許さないだろう。
何を考えてるのか分からないけど、バレたら二人とも無事じゃ居られないんだからね!!
…逃げる事ばかりに頭をフル回転させて、結局何も思い付かなかったあたしは小さく溜め息を吐いた。
すると
ヴーッヴーッ
マナーモードに設定していたあたしのケータイが震えた。
メールだ。
開いて見ると、送り主は隣に座る彼で。
ちらりとそちらを見やると、彼は知らん顔で窓の外を見つめていた。
あたしはまたケータイ画面に目線を戻し、文章を読む。