*SWEET LESSON*
[俺が降りたら、遠回りするように柳瀬に道案内しろ。家に着いたら俺の部屋に来るように。
お仕置きしてあげるよ]
……幻覚だと思いたい程の鬼畜な文章に、顔が究極に引きつった。
返信はせずに、パタンと画面を閉じる。
そして
「あ、先生。ここで降ろして下さい。塾がある事をすっかり忘れていました」
大和は家の近くの駅から 少し離れた道で降ろすように柳瀬さんに話す。
「塾?じゃあ送って行くよ」
柳瀬さんは「どこ?」と言いながら、歩道に車をつけて止めた。
「いえ。そこの駅にあるので。それに、長谷先生が心配ですから…」
僕は大丈夫です
と微笑んでみせる大和。
「そーか…。じゃあ、悪いな…。気をつけて帰れよ?また明日学校で」
「はい、先生方も気をつけて。さようなら」
バタン。
ドアが閉まり、発信した車。後ろの窓から大和を見てみると、律儀に手を振って見送っていた。
「あいつ、良い奴なんだなー。関係ないのに心配だからってお前を助けに、一緒に来てくれたんだぞ?
お前のファンになったらしい」
ケラケラと笑いながら 良かったなー なんて言ってきた柳瀬さんに、
心の中で謝罪した。
ゴメンナサイ。柳瀬さんよりは確実に関係あります…