*SWEET LESSON*
「ずーっと。最初から」
あたしの問いに冷めた声で答える。それはかなり怒っているのだと直ぐに分からせてくれた。
「えーっと。どうやって家まで帰ってきたのかな?」
恐怖に顔を引きつらせながらも、何とか話題を逸らせようと努めてみた。
「さぁね。さなは俺がどうやってここまで帰ってきたか、想像つくかな?」
質問返し。聞いてるのはあたしなのに と思いながらも、話題がそれた事に安堵した。
「タクシー?」
「ハズレ」
「バス?」
「そんなの、さな達よりも遅くなるだろう」
「ひ…ヒッチハイク…じゃないよね、まさか」
「当たり」
……はぁ?
今のご時世、乗るのも乗せるのもかなり危険だと思いますが……
「派手な外車が偶然通りかかってね。手を上げたら直ぐに止まってくれて、送ってくれるって言われたからお言葉に甘えただけ」
どうしてだろうなー。ただ手を上げただけなのに…
って。確実に確信犯でしょう?
それよりも、良からぬ考えが浮かんでしまった。
「その、乗せてくれた人って、男の人かな?」
「オバサンだよ。40くらいの。
色々と頼まれたけど、丁重にお断りしておいた」
……ナニヲデスカ…