*SWEET LESSON*
「ちょ…!どこ連れてくの…」
「俺の部屋」
短くそう答えた後は、あたしが何を言っても 一言も発しなかった。
こんこんと明りが灯る彼の家。
ガチャリと玄関を開け、さっさと靴を脱ぐ彼に遅れないように 慌てて靴を脱ぎ捨てた。
「あら、さなちゃん。いらっしゃい」
「あ、どうも…」
大和のお母さんがリビングから顔を出すが、彼は気にも留めない様子で
ズンズンと階段を上って行く。
『ただいま』位言いなさいよねー。
階段を上り切り、長い廊下を歩く。
大和の家は超豪邸で。ご両親が貿易会社の社長さんなんだ。
と言っても、大和が引っ越してきたのは3歳の時で。その前からここにこの家はあったから、きっと中古物件を購入したのだろう。
それに、会社を立ち上げたのはこっちに引っ越してきてからだったから、新築でこの物件を立てるのはちょっと無理がある。
昔の事をしみじみと思い出していたら、いつの間にか大和の部屋についていた。
乱暴に中へ押し込まれ、
「どぅわッッ!!!」
ぼすん
身体を押され、倒されたのはベッドの上だった。
「さぁて……。
何からして欲しい…?」
正に
蛇に睨まれた蛙。
バックを投げ捨て
シュルシュルとネクタイを外す大和の目線から あたしは逃げる事が出来なかった。