*SWEET LESSON*
ゆいかちゃん とはうちのお母さんの事だ。お隣なせいもあってかなーり仲がいい。
「ありがとうございますー」
へらっ と笑うあたし。
その目の前で大和が べー と舌を出していたのが見えた。
…………ま…まさか…!!!
「じゃー下に行きましょ」
ご機嫌な様子で部屋から出ていく大和のお母さん。その背中を追うように
「腹減ったよ。春菊入れてないよね?」
と、すき焼きの具の話題を出しながら一緒に出ていく大和。
ぱくぱくと口だけが動いた。
焦りと不安と絶望感と…とにかくいろんな感情が溢れて来たあたしは声が出なかったのだ。
ちょっと、この手 どうすんの?
ドアを閉める直前。
大和が『フッ』と笑ったのが見えた。
そして一人残された部屋で あたしはもがけばもがくほどきつくなる結び目と10分余り格闘することになったのだった…。