*SWEET LESSON*




机に向ってペンを走らせていると、バッグの中でケータイが震える音がした。



開いてみると、送り主は和樹で


『今日会えるか?2人は大丈夫だってさ』


とだけ書いてある。



こんな簡潔な文章は彼ならではで。



大学を卒業してから幾らも経っていないのに、何だか久しぶりに感じた。



数通のメールののち、あたしは急いで仕事を終わらせにかかった。













「ッハイ!!OKですか?OKですよね!?それじゃ…」



鞄と共にプリントを持って行って、押し付けてそのまま帰ろうとしたのに 


それは悠長にコーヒーを飲む馬鹿男によって阻止される。




「待て。俺がチェックしてやる」


ニヤリとしながら安本さんの前にあったプリントを自分の方に引き寄せた。



「…誤字脱字がひど過ぎる。国語教師のくせに…。

ハイ。やり直しー♪」


最後の方は重いっきし明るい声で。



「やだ…ッ!安本さん…お願いしますー……」



あたしだって一刻も早く帰りたいんだ。


「良いですよ?国語は得意でしたし…さっきの仕事も彼に手伝ってもらって、もうやることなかったですから」



嗚呼…!!


やっぱりあなたは神だ!




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