*SWEET LESSON*
モデル並みに伸びた身長。
あたしと同じ位の目線だった頃から考えると信じられない。
声も低くなったし 手だって 背中だって 今じゃ立派な ”男の人”だ。
「それより、何でこんな所に居るのよ」
家の最寄駅近くにある 大きな通りに大和は現れた。
「CDを買いに行ったんだよ」
ほら。
と見せられたのは、彼の好きな外国のアーティストの新譜で。
J-POPしか殆んど知らないあたしには何だかわからないジャンルのCD。
彼に言わせれば
「この人は人生のなんたるかを全て知っている。ソレをこんな音源で歌にできる事が素晴らしいんだ。
まぁ、さなには分らないだろうけど…」
らしい。
いつからこんな生意気な口を叩くようになったのだろうか。
…過去を探れば探るほど、思いあたる節があり過ぎて…
考えるのをやめた。
「それより…初めての男子校潜入、楽しかった?」
うう…
嫉妬心も強くなったみたいで、あからさまに態度に出すようになった彼。
正に張り付けた笑顔を浮かべる大和が、今は何よりも恐ろしい…
「…潜入じゃないもん。お呼ばれしたんだもん」
…彼と話していると、どっちが子供なのか分からなくなる。