*SWEET LESSON*
ハッとした顔でこちらを見てくる。
それは、外れてなかったって事だと気づいて また悲しくなった。
「…あたしね、ずっと思ってたの。綾さんや柳瀬さんが、理事長に反抗するような態度とか、服装とかしてるの
どうしてなんだろうなって。
理事長が好きなら、こんな髪の色にはしなかったでしょう?
あたしにはそれが反抗しているとしか思えない。
だって、二人は親の名前に甘えて好き勝手やるような人じゃないもん。
だから、きっと
何かを伝えたいんじゃないか って…淋しいんじゃないかって
そう思うんだけど…」
…何もできないし、何の関係もないあたしがこんな事を言ってどうするんだろう。
そう思っていても、やっぱり言わずにはいられなかった。
気持ちが溢れ出してきたんだ。悲しさがすぐそこまでやってきたから……あたしはギュッと握ったこぶしを見つめた。
「……やっぱりお前はすげぇよ」
彼の方に向き直ってみると
光を背に浴びた彼が笑っていた。
「すげぇ。ホント。
そんな事誰にも気づいてもらえなかった。きっと綾ちゃんもそうだろう。
いつか…それがあの人にも伝わるといいんだけど…」
うん。
きっと、いつか。
まだ深い部分までは届かないけれど
少しだけ柳瀬さんの気持ちが分った気がした。