あなたがいてあなたといて【短編】
だから…



「もう、友達じゃいられないよ…」



夏惟といたら、触れたくなる。


抱きしめてほしい。


抱きしめたい。


キスしたい。


そう、思っちゃうんだよ?


夏惟は違うかもしれない。


でも、好きだから仕方ないの。


これ以上…


「夏惟といたら…もっと好きになっ…―ひゃっあ…」

グラッと変わった視界。

理解するまで、数秒かかった。


でも、この温もり。


この匂い。


この腕。


全部が夏惟のものだよね…


あたし、夏惟に抱き締められてるんだよね…?



「…ぅっ…ヒッ…ヒッ…」



夏惟…


なにを思って抱きしめてくれているの?


同情…かな?


嬉しいはずの夏惟の胸の中。


モヤモヤするよ。


それは、夏惟の心がここにないから…?


ねぇ…?



夏惟はあたしのことどう思ってるの?



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