あなたがいてあなたといて【短編】
アナタがいた
そして、向かえた高校の入学式。


親友のまーやも同じ高校に受かっていた。


「夏惟君いるかな…?」


親友の言葉に辺りを見回してしまうあたし。


バカみたい。


そう思って俯くとまーやに一言。


「いないよ…そんな」


そんな奇跡あるわけない。

そう言おうと、また顔をあげたとき


あたしは、息を呑んだの。

だって、いたの…


いや、いるわけない。


そう思ったけど、あたしが見間違えるはずがないよ。

だって、好きなんだから。

ダイスキなんだから。



あたしは、夏惟であろう男子生徒に釘付けになった。

ドキドキドキ…


心臓が今まで休んでいた分速く動く。


ヤバい…


間違えなく夏惟だよ…


黒髪は、茶髪に変わっていて


前とは見違えるほど、かっこいいし、体格もいいけど

あの目も、鼻も、口も全部全部、夏惟のものだった。

6年前の思い出が蘇る。


友達に笑いかけている夏惟。


いつも笑うときは目尻を下げて優しく笑う。


昔から変わってない笑顔にキュンと胸が鳴った。


あぁ、あたしはやっぱり夏惟が好きなの。



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