あなたがいてあなたといて【短編】
イイナズケ
そして、その日は夏惟と気まずいままだった。


チラッと横目で確認して、至って普通に授業を受けている夏惟を見てため息をつく。


そんなことを繰り返してその日は授業が終わったのだ。


彼は帰りもいつの間にかいなくて


「はぁ…」


とまた、大きくため息。

なんでだろう?


もう、一週間経つのに気づいてもらえないのは…


いや、それとも知らないふりされてるの?


あたしは、そんなことを考えながらポツリポツリと歩いた。


いつもより、長く感じる帰り道。


今日は、気分転換に違う道でも通るかと細い道に入ってみた。


久々通る道。


公園もできてる!


なんて、キョロキョロしながら帰っていると


なんの偶然なのか、夏惟がその公園にいたのだ。


本当に偶然。


気分転換にって思って通った道。


これは、話しかけるべきだよね!


あたしは、公園にいる彼に駆け寄った。


でも、あたしは目の前の光景に足を止めたんだ。


だってね…

だって、そこには楽しそうに笑う夏惟と一緒に車椅子の女の子がいたの。


「夏惟ったら、可愛い〜、んふふ」


「男に可愛いとか言うなっつーの!」


って、親しそうに話す女の子と夏惟。


な、んで…?


そんなこと聞かなくてもわかる。


でも、認めたくないよ…



認めたくない。



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