真面目なあたしは悪MANに恋をする
女の恨みは納豆の如く
『早く行きたい』と思うとなかなか時間が進まないのに

『行きたくない』と思うとあっという間に時間が過ぎてしまうモノだ

地元の駅のホームで、あたしはため息を零す

大量に吐き出された白い息は、空気中に混じって消えていく

短大メンバーのうち、何人があたしを理解してくれているだろう

そう思うと心が憂鬱になる

茉莉に同情している人は、何人いるのだろう

「葉南さん、おはよう」

横から背の高い人が声をかけてくる

あたしは横を見上げると、制服姿の片岡君が立っていた

首まできちんとボタンをつけて、ネクタイもきちんとしている

クリスマスに見た着崩れた片岡君ではなくて、今日はびしっと制服を着ている片岡君だった

「おはよう、片岡君。本当に同じ電車だったんだね」

待ち合わせしたわけじゃないのに、片岡君があたしの乗る電車を知ってる

前に言ってた

同じ電車に乗ってるって…

「顔が暗いですよ」

片岡君の大きな手の平があたしの頭をポンポンと軽く叩いてくれる
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