真面目なあたしは悪MANに恋をする
「ちょ…っと、葉南ってば!」

ナツが驚いて、あたしの肩を叩いた

「だって嬉しいんだもん! みんなが手を振ってくれて…あたし、ナツだけかと思ってたから。学校行くのも、嫌だって思うくらい、不安で、どうしたらいいかわからなくて…」

「え? 葉南が泣いてんの?」

机に座っていた友人たちも、ガタガタと椅子をしまって、講義室の後ろに丸まってきた

「ありがとう…みんなっ」

いつもの短大メンバーにお礼を言う

「何、言ってんの! クリスマスのとき、葉南が本気で泣いてるのをうちらは間近で見てるんだよ。どっちが嘘をついているかなんてすぐにわかるって」

知美が腰に手をあてて、笑顔を見せてくれた

「ほら、涙をふきなって」

彩音が、ハンカチを差し出してくれる

あたしはそれを受け取ると、涙を拭いた

「ありがとう」

「ただ…さ。うちら以外は…」

知美が言葉を濁しながら、教壇の近くに座っている茉莉たちの集団に目をやった

同じクラスの子たちが、あたしを睨んでいる

冬休み前まで、挨拶程度しかしたことのないようなクラスメートと、茉莉は一緒に座っている

こそこそと耳打ちをしては、クスクスとあたしのほうを見て笑っていた

< 132 / 438 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop