真面目なあたしは悪MANに恋をする
興味津津で、知美の身体はあたしの隣に座っているナツを押し倒してしまいそうなくらい前に身を乗り出している

他のメンバーたちも、目じりを下げてにやにやしていた

「どこの高校?」

「知らない」

「兄弟は? 一人暮らし? それとも親と?」

「知らないよ」

「金持ち?」

「知らない」

「童貞?」

「知らないってば」

知美の質問攻撃にあたしはだんだん身を引いていく

椅子の背もたれに、こつんと背があたると、どんどんと距離が縮まる知美に苦笑いを浮かべる

「葉南は彼氏の何を知ってるの!」

「んー、バイト姿とバイク姿」

さすがに『族長姿』とは言えなかった

「バイクに乗るの?」

「うん、まあ」

「へえ、それで? もう二人乗りした?」

「してないよ…て17歳で二人乗りは違反じゃない?」

「あ、そうだっけ? んじゃ、どこまで進んだの? 休み中だったんだから、それなりに進んだでしょ?」

「進んだ?」

「だから、キスとか…そういうこと」

「キスはしたよ」

31日の夜のことを思い出すと、顔がぽっと熱くなるのがわかった
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