真面目なあたしは悪MANに恋をする
全てあたしのせいにして、楽になりたいんだよね?

自分は間違って無かった…って思いたいんでしょ?

間違ってるって認めたくないんでしょ?

そういう考え方自体が間違ってるよ

「ねえ、なんとか言いなさいよ」

「何も言えないよ」

「何でよっ! 幸せすぎて、私の気持ちが全然わからないとでも言うわけ?」

茉莉は手を伸ばして、あたしの前髪を引っ掴んできた

「いたっ…痛いよ! 茉莉、やめてよ」

「私の心の痛みはこんなもんじゃない! もっと痛かったんだから。もっと辛かったんだから。どうして寺島君と出会わせたのよ! あんたがいなければ、こんな傷だらけの身体になんてならなかったのにっ」

茉莉は力を弱めるどころか、ぐいぐいと髪を引っ張ってくる

「前にも言ったじゃん。それはあたしのせいじゃないよ。茉莉が勝手に寺島君を好きになって、付き合うって決めたんでしょ? あたしは茉莉が協力してくれるっていう言葉を信じただけだもん」

「信じる奴が馬鹿なのよっ! あんたみたいに、のほほんと生きてるくせに、誰からも愛されてるなんてむかつくのよ」

茉莉に引っ張られる髪の痛みを少しでも和らげたくて、頭を動かして逃げようとする

「ちょっと! 何やってるの?」
「茉莉、やめなってば」

ナツと知美が、気付いてくれたようで講義室から飛び出してくると、茉莉を後ろから抑えようとしてきた

茉莉の手があたしの髪から離れた

痛みから逃れた瞬間、茉莉の薄笑いが視界に映ると、茉莉の手があたしの肩を押した

え? ナニ?

重心が後ろに行くと同時に、足ががくんと下に落ちるのがわかった

「落ちちゃえばいいのよ」

茉莉の低い言葉と、高笑いが頭に響きながら、あたしの意識が飛んでいった

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