真面目なあたしは悪MANに恋をする
「あ…それとねえ、彼氏にも…」

知美の声と同時に、がらりと病室のドアが開いた

「葉南さんっ!」

知美とナツの隙間から、ブレザー姿の片岡君が見えた

息を切らして、肩を大きく揺らして呼吸をしている

「あ、来た」

ナツがぼそっと口にする

「お、おおう」

知美が、片岡君の全身を見て声をあげる

「あ…お電話、ありがとうございました」

病室のドアを閉めた片岡君が頭を下げた

「いやいや、当然のことですよぉ」

知美が手を振った

「葉南さん、大丈夫ですか?」

寒空の中、走ってきてくれたのか…片岡君の額には汗の滴が落ちていくのが見えた

「あれ? 学校は?」

「別にいいですよ、学校なんて」

「脳震とうと全身の打撲だそうです。目が覚めたら、帰っていいって看護士さんに言われました」

ナツが、片岡君に説明をしてくれる

「そうですか」

片岡君は腕時計で時間を確認すると、あたしの顔を見てきた

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