真面目なあたしは悪MANに恋をする
「心配しないでいいから。要は俺らの自己マンが目的であって、葉南ちゃんが責任を感じることじゃないんだよ」

透理さんが明るい声でフォローを入れてくれる…けど、あたしはコートの裾をぎゅっと掴んだ

痛む頭に、茉莉の高笑いが聞こえてくる

憎しみの目に、勝ち誇った嬉しそうな顔をしてた

あたしを傷つけて、楽しんでいた

頭にくるけど、同じように仕返しをしたいとは思わないよ

「大丈夫だって。ケンケンも楽しんで、やっていると思うよ。久々の彼女に、大喜びってところじゃない?」

「え?」

またバックミラー越しで、透理さんと目が合った

「マサから聞いてるでしょ? 俺らはわけアリ集団から。チョーみたいに、普通の恋愛ができるヤツなんて多くない。俺もケンケンも、『普通』は嫌いなんだ」

透理さんがさびしそうに微笑んだ

『普通』が嫌い

わけアリ集団?

だってみんな、優しいし、寺島君なんかよりずっと紳士だったよ

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