真面目なあたしは悪MANに恋をする
ケンケンの計画を目の当たりしたのは、片岡君の携帯に一通のメールが来て、一緒に赤族のたまり場であるカラオケ店に行ってからだった

あたしが病院に運ばれた日の夕方、茉莉が授業を終えて学校を出ようとしたとき、一人の男の人が派手なバイクアクションとともに愛の告白をされた…という噂を耳にした

もしかしてケンケンが?っていう不安はあったけど、本当にケンケンだとは思えなくて

「おっ、カップルのご登場っすね」

カラオケボックスの一部屋に入ると、ケンケンの明るい声がマイクによってスピーカーから飛び出してきた

大きな音にあたしはびっくりして、身を縮める

閉じた瞼を持ちあげたとき、ビールを飲みながら煙草を吸っている茉莉と目が合った

短いスカートに、ロングブーツで足を組んで座っている茉莉

大学にいるときは清楚なお嬢様風の服を着ているのに、今日は違った

学校では見られない派手なメイクに、派手なアクセサリーを身につけている

男一つで、茉莉は大胆に変身できる女なのだとあたしは思った

「えっ? 葉南? なんでこんなとこにいるのよ」

茉莉があからさまに嫌な顔をする

茉莉はマイクを持って熱唱を始めてケンケンの腕を引っ張って、あたしの顔を指でさした

「なんであの子がこんなとこにいんのよ」

茉莉が大きな声でケンケンに怒った

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