真面目なあたしは悪MANに恋をする
「指…ささないでもらえるかな?」

茉莉の隣に座っていたマサ君が、怖い顔で茉莉の手首を叩いた

ぺチンと乾いた音が鳴ると、茉莉の手首が赤くなっていく

「ちょ…痛いじゃない! 下っ端のくせにっ」

「煩いよ。厚化粧のおばさん」

マサ君がしれっとした顔で言うと、テーブルに乗っているジュースを飲む

「お…おばっ」

マサ君の言葉に、茉莉の目が吊りあがった

「だから嫌なんだ。俺たちの場所に女が来るのは…って、葉南さんは違いますよっ! 俺らの特別ですから」

マサ君がにこっと微笑んであたしの顔を見てから、茉莉を睨みつけた

片岡君は気にもとめず、空いているソファに腰を落として手を伸ばしてきた

「葉南、おいで」

「あ…うん」

片岡君があたしを呼び捨てにした

なんか、片岡君がいつもと違う気がする

バイトのときとも、族長としての片岡君ときとも違う

どうしたんだろう

あたしは片岡君の手を取ると、隣に座ろうとした
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