真面目なあたしは悪MANに恋をする
「ひゃ…なんでぇ…」

「『賢悟』って呼んでよ」

「け…け…、ケンケン」

「呼ぶ相手の名が違うだろ」

「じゃあ、賢ちゃん」

「『賢悟』」

「け……んご」

「よくできました」

片岡君があたしの頭を撫でてくれた

熱唱が終わったケンケンは、ピューと口笛を吹きながらあたしたちをからかう

「チョー、なんか歌うっすか?」

ケンケンが声をかけてくるのがわかる

「歌うわけねえじゃん。彼女といちゃついてるのに」

ぼそっとマサ君が面倒くさそうに呟いた

「マサぁ…機嫌わりぃなあ」

「誰のせいだよ」

「俺か?」

バサッと本が何かにあたる音が聞こえてくる

「いったぁ」

ケンケンの大きな声と、同時に足をバタバタさせる足音がした

「答えのわかりきっている質問をするな。女は嫌いなんだよ」

マサ君の冷たい声が聞こえる

え? 嫌い? そんな風に見えなかったのに…

< 157 / 438 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop