真面目なあたしは悪MANに恋をする
「最近だと、つい3週間前かなぁ。電車の中で服を脱がされるかと思ったよ」
「それは怖かったですね」
「怖かった。帰り電車だったんだけどねえ、駅から家まで徒歩10分なのに、その日は30分くらいかかっちゃった」
「そういうときはバイト先に顔を出せばいいのに。店が駅前にあるんですから、気持ちを落ち着けていけばいいんですよ」
「だって営業中に悪いよ」
「鈴木さんの非常事態ですよ? 誰も迷惑だなんて思いませんって。それについでにバイトしてくれると助かるし」
「え?」
「もちろん、ただ働きですけどね。気が紛れますし」
「まあ、そうだねえ」
なんでこんな話を、片岡君と歩きながらしてるんだろう
「片岡君って不思議だねえ」
「はい? そうですか?」
片岡君は、目を少し見開くと首を捻った
「そうだよ。だってさ、痴漢に遭ったって言うと大抵、どうしてその場で『やめて』って言わないんだよ…って言うじゃない?」
男の人なら、なお更だよね
どうして大きな声を出して、助けを求めないの? とか
なんで、痴漢男の手を掴んで警察に突き出さないの? とか
「それは怖かったですね」
「怖かった。帰り電車だったんだけどねえ、駅から家まで徒歩10分なのに、その日は30分くらいかかっちゃった」
「そういうときはバイト先に顔を出せばいいのに。店が駅前にあるんですから、気持ちを落ち着けていけばいいんですよ」
「だって営業中に悪いよ」
「鈴木さんの非常事態ですよ? 誰も迷惑だなんて思いませんって。それについでにバイトしてくれると助かるし」
「え?」
「もちろん、ただ働きですけどね。気が紛れますし」
「まあ、そうだねえ」
なんでこんな話を、片岡君と歩きながらしてるんだろう
「片岡君って不思議だねえ」
「はい? そうですか?」
片岡君は、目を少し見開くと首を捻った
「そうだよ。だってさ、痴漢に遭ったって言うと大抵、どうしてその場で『やめて』って言わないんだよ…って言うじゃない?」
男の人なら、なお更だよね
どうして大きな声を出して、助けを求めないの? とか
なんで、痴漢男の手を掴んで警察に突き出さないの? とか