真面目なあたしは悪MANに恋をする
悪MANたちの家は賑やかで爽やか
カラオケボックスから、片岡君の家まではあっという間だった

「ここだよ」

広い敷地に建つ建物に、あたしは目を奪われる

「ここ?」

あたしは失礼だとわかっていても指をさして、バイクがずらりと並んでいる場所を見つめた

「うん。ここが僕の家」

「べ…便利屋?」

あたしは首を傾げる

建物の一階部分にある看板を読み上げると、あたしは片岡君の顔を見つめた

片岡君は苦笑すると、肩をすくめた

「僕が直接経営しているわけじゃないんけどね。家を飛び出してきて、行き場所のない人たちのバイト提供場所って感じかな?」

「直接経営してるのは?」

「ケンケンとマサの二人だよ」

「そう…なんだ」

「1階部分が、事務所で2階が一人暮らしができるほどの経済力がないやつらの住処で、3階が僕とケンとマサの部屋になってる」

「はあ…」

3階建ての白い箱形の建物にあたしは目を戻すと、派手な看板を見つめた

「便利屋って言ってもね。たいした仕事はないらしいんだよね。結局、副業でバイトもしているしね」

片岡君が困ったもんだねと言わんばかりに、苦笑いを浮かべていた

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