真面目なあたしは悪MANに恋をする
「さっそくだけど、僕の話しをしてもいい?」

「うん」

あたしは頷くと、椅子に座っている片岡君を見つめた

「僕、学校に友達がいないんだ」

片岡君は、言葉とは裏腹に明るい笑みを見せる

え? 学校に友達がいない?

「授業も出てないし、毎日、図書室か屋上か、保健室で過ごしてる。朝の朝礼のときに、僕は席に座っていれば、それでその日一日は出席扱いになるから。朝だけ学校にいれば、あとはどこで何をしていようと関係ないんだ」

なんで?

片岡君みたいな人に友達がいないなんて…おかしいよ

「みんな、僕を怖がってる。教師すらも僕を恐れてる。それは僕が赤族の族長だからってわけじゃない。僕が人を殺したことがあるから」

「え?」

あたしは驚いて、声をあげてしまった

人を殺した?

片岡君が?

「勘違いしないでほしいのは、実際に僕は殺してない。その場に居合わせたけど、僕が殺したわけじゃない。精神的に追い詰めたのは事実だけど、手を下したわけじゃない。信じてくれる?」

片岡君が苦しそうな顔をして、あたしを見てきた

あたしは頷いてから、手を伸ばした

片岡君が今にも泣きそうな顔をしていたから、触れたいって思った

抱きしめてあげたいって心の底から思った

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