真面目なあたしは悪MANに恋をする
「なんで…葉南さんが泣いてるの?」

「だって……」

今度は片岡君が、ぎゅっとあたしの肩を抱きしめてくれた

「僕は大丈夫だよ。それに僕の過去を知ってて受け入れてくれてる人だっているから。透理やケンやマサは、僕の過去を知ってる。逆に僕も彼らの過去を知ってる。高校は受け入れてくれなかったけど、ちゃんと僕の居場所はあるから。決して一人きりじゃない」

片岡君がぽんぽんとあたしの肩を叩いた

「葉南さんは優しいね。そういうところが好きなんだ。ずっと見てたよ。声をかけたくて、でも話しかけるのが怖かった。僕の過去を知ったら、僕は嫌われるんじゃないかって思って、声をかける勇気が出なかった」

「嫌わないよ」

「うん。クリスマスイブの日に話しかけて良かった。葉南さんに触れられる日が来て、僕は凄く幸せだよ」

片岡君とあたしは目を合わせて微笑みあった

片岡君の手が、あたしの耳に触れる

あたしは目を閉じると、片岡君の唇が重なった

優しいだけのキスじゃない

激しく求めてくるキスだった

舌と舌を絡めて、互いの息が熱くなるのを感じた

キスをしたまま、あたしは片岡君に押し倒される

ベッドの上に横になると、布団から片岡君の匂いが鼻腔をくすぐった

あたしは今日、片岡君に抱かれるんだ

そう思ったとき、ばたばたと階段を登る足音と、ケンケンの怒鳴り声が聞こえてきた

バッと、片岡君の身体が起き上がる

片岡君も何かあると感じたのだろう

「葉南さんはここにいて」

あたしと目を合わせた片岡君がこくんと頷くと、部屋を飛び出して行った
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