真面目なあたしは悪MANに恋をする
「葉南さん、退いて! すぐに止血をしないと」

あたしは慌てて階段を駆け上った

片岡君の前に出たマサ君が、部屋のドアを開けると茉莉を抱いている片岡君が中に入る

掛け布団をばさっと退かしたベッドに、茉莉が横になる

白いシーツがみるみる真っ赤に染まっていくのが、部屋の外からでもわかった

廊下にも、茉莉の血が落ちている

どうして?

なんで?

茉莉が血を流してるの?

「服、切るからね」

意識のない茉莉に向って、マサ君が声をかける

机の上にある文房具のハサミを手に取ると、血だらけの茉莉の上着をザクザクと切っていった

「救急箱、持ってきたよ!」

階段を駆け上がってきた透理さんが、木箱をマサ君の横に置く

「透理さん、この子の脈を測ってて。チョーはドアを閉めて、葉南さんの傍にいてあげてください。大丈夫です。必ず、助けますから」

茉莉の服を裂きながら、マサ君が早口で一気に言った

「わかった」

片岡君は血だらけの服のまま、廊下に出てくるとマサ君の部屋のドアを閉めた

「僕たちは、部屋で待っていよう」

片岡君があたしの肩を抱いてくれた

「茉莉は?」

「大丈夫。きっとマサとマサのお父さんが助けてくれるよ」

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