真面目なあたしは悪MANに恋をする
マサ君が片岡君の部屋に来てくれるまでの2時間ちかく、あたしはぶるぶると全身を震わせてずっと待っていた

茉莉の安否がわからない

ただ隣の部屋から、男の人たちの声が聞こえてくるだけ

片岡君がずっと肩を抱きしめていてくれたけでど、震えがおさまることはなかった

指先が冷たくて、片岡君が暖房をつけてくれたのに…全然温まらない

コンコンとドアがノックされると、血だらけのマサ君が部屋に入ってきた

マサ君の体についている血が、もう乾いていて、茶色くなっている

「もう…大丈夫です」

マサ君がほほ笑んでくれた

ほっと息をつくのと同時に、あたしの全身の力が抜けたのがわかった

「葉南さんっ」

「あ…大丈夫。安心したら、力がぬけちゃって」

ベッドに倒れ込んだあたしに、片岡君が心配そうに頭を撫でてくれる

「葉南さん、茉莉さんの自宅の電話番号ってわかりますか?」

マサ君があたしの顔を覗き込んで聞いてきた

「え? あ…家に帰ればわかるよ」

「なら教えてもらってもいいですか? 父の病院に彼女を連れていくので、家族に連絡をしないと。しばらく入院になると思いますから」

「あ…うん」

あたしが頷くと、片岡君がベッドから降りて立ち上がった

「葉南さん、送っていくよ。電話番号わかって僕にメールして。僕からマサに教えるから」

「うん」

あたしは返事をすると、片岡君に頷いた

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