真面目なあたしは悪MANに恋をする
「あの子……おいつと同じ名前で、おなじことをしてたんすよね。思わず、時計を奪っちまいましたよ」
ケンケンがポケットから、茉莉がいつもつけていた腕時計を出して、ぽろぽろと涙が流しながら眺めはじめた
「運命の悪戯っすかね? なら神様は意地悪だ」
片岡君は、ケンケンの横に腰を下ろすなり、ケンケンの背中をそっと擦った
「神様なもんかよ」
片岡君がぼそっと口ずさむ
「あの子、自分から手を離したんすよ。身体の締め付けが楽になったかと思ったら、バックミラーにあの子がごろごろと道路に転がっていくのが見えて、バイクごと回転させて、あの子の近くに寄ろうとしたら…乗用が走ってきて…頭が真っ白になりました。気がついたら、俺が乗用車に突っ込んでました」
「怪我は平気か」
「ええ。俺は平気です。マジ…やばかったっすよ。頭がおかしくなるかと思った。あの子、『ごめん』って言うんすよね。真里が死ぬ直前に言った言葉と同じ…『ごめん』って。一瞬、真理に言われてるのかと思って、混乱したっす。同じ名前だったから、余計っすかね?」
片岡君が、背中を丸めているケンケンの肩をぽんぽんと叩いた
「茉莉は無事だよ。マサの家で、これからきちんとした治療をしてくれる」
「そうっすか。良かった」
『はあ』っとケンケンが深いため息をついたのが、後ろにいるあたしにもわかった
『真里』って人は、ケンケンの好きな人だったのかな?
『一人だけね。もう会えないけど』
車中で透理さんに言われた言葉を、あたしは思い出した
ケンケンがポケットから、茉莉がいつもつけていた腕時計を出して、ぽろぽろと涙が流しながら眺めはじめた
「運命の悪戯っすかね? なら神様は意地悪だ」
片岡君は、ケンケンの横に腰を下ろすなり、ケンケンの背中をそっと擦った
「神様なもんかよ」
片岡君がぼそっと口ずさむ
「あの子、自分から手を離したんすよ。身体の締め付けが楽になったかと思ったら、バックミラーにあの子がごろごろと道路に転がっていくのが見えて、バイクごと回転させて、あの子の近くに寄ろうとしたら…乗用が走ってきて…頭が真っ白になりました。気がついたら、俺が乗用車に突っ込んでました」
「怪我は平気か」
「ええ。俺は平気です。マジ…やばかったっすよ。頭がおかしくなるかと思った。あの子、『ごめん』って言うんすよね。真里が死ぬ直前に言った言葉と同じ…『ごめん』って。一瞬、真理に言われてるのかと思って、混乱したっす。同じ名前だったから、余計っすかね?」
片岡君が、背中を丸めているケンケンの肩をぽんぽんと叩いた
「茉莉は無事だよ。マサの家で、これからきちんとした治療をしてくれる」
「そうっすか。良かった」
『はあ』っとケンケンが深いため息をついたのが、後ろにいるあたしにもわかった
『真里』って人は、ケンケンの好きな人だったのかな?
『一人だけね。もう会えないけど』
車中で透理さんに言われた言葉を、あたしは思い出した