真面目なあたしは悪MANに恋をする
「何それ…意味わかんない」
茉莉がぼそっと投げやりな言い方をした
「…ごめん。俺、ケンに連絡してくるから。あいつと連絡がついたら、こっちに来るように言うよ。そっちのほうがいいだろ」
俺が立ち上がろうとすると、茉莉の首を動いて俺の手を掴んだ
包帯の巻かれている手で俺の手首をしっかりと握っている
「何で?」
「茉莉はケンと付き合ってるんだよね?」
「知らないよ、そんなの。あんたのほうが知ってるんじゃないの? どうせ葉南の仕返しをするために、私に告っただけでしょ? これで十分、仕返しができたでしょ?」
茉莉は手を離すと、手を布団の中にしまった
「それでも大怪我をさせたいわけじゃなかった」
僕がぼそっと言うと、茉莉が腕についている点滴を外して床に倒した
ガシャンと大きな音が鳴った
「もう、放っておいてよ! どうせ私は悪者よ。葉南を傷つけて、葉南を突き飛ばして階段から落としたわよ。あの子の好きだった男も寝とった。エッチして妊娠して…連絡がつかなくなって、なんだかよくわからないあやしい病院で、堕ろしたわよ。だからナニ? いつでもどこでも、誰もが『葉南』『葉南』って、あの子を中心にして時が回ってる。もう…うんざりなのよ。努力しても、頑張っても私は…ダメなのよ。寝ずに頑張っても、母親の満足は得られなかったように、私がいくら頑張ったところで…『茉莉』を中心に見てるくれる人なんていないのよ」
茉莉が俺に背を向けた
肩が震えているのがわかる
俺が両親の愛を求めても、兄に奪われて得られなかったように…この子も同じようなことで苦しんできたんだ
努力してきた日々に絶望し、素直に…愛を得られる葉南を羨んだ
そして、憧れが憎しみに変化した
「点滴、針が抜けちゃったって看護師さんに言いに行ってくるから」
俺はズボンのポケットから、ハンドタオルを出して茉莉の顔をかけると病室の部屋を出た
茉莉がぼそっと投げやりな言い方をした
「…ごめん。俺、ケンに連絡してくるから。あいつと連絡がついたら、こっちに来るように言うよ。そっちのほうがいいだろ」
俺が立ち上がろうとすると、茉莉の首を動いて俺の手を掴んだ
包帯の巻かれている手で俺の手首をしっかりと握っている
「何で?」
「茉莉はケンと付き合ってるんだよね?」
「知らないよ、そんなの。あんたのほうが知ってるんじゃないの? どうせ葉南の仕返しをするために、私に告っただけでしょ? これで十分、仕返しができたでしょ?」
茉莉は手を離すと、手を布団の中にしまった
「それでも大怪我をさせたいわけじゃなかった」
僕がぼそっと言うと、茉莉が腕についている点滴を外して床に倒した
ガシャンと大きな音が鳴った
「もう、放っておいてよ! どうせ私は悪者よ。葉南を傷つけて、葉南を突き飛ばして階段から落としたわよ。あの子の好きだった男も寝とった。エッチして妊娠して…連絡がつかなくなって、なんだかよくわからないあやしい病院で、堕ろしたわよ。だからナニ? いつでもどこでも、誰もが『葉南』『葉南』って、あの子を中心にして時が回ってる。もう…うんざりなのよ。努力しても、頑張っても私は…ダメなのよ。寝ずに頑張っても、母親の満足は得られなかったように、私がいくら頑張ったところで…『茉莉』を中心に見てるくれる人なんていないのよ」
茉莉が俺に背を向けた
肩が震えているのがわかる
俺が両親の愛を求めても、兄に奪われて得られなかったように…この子も同じようなことで苦しんできたんだ
努力してきた日々に絶望し、素直に…愛を得られる葉南を羨んだ
そして、憧れが憎しみに変化した
「点滴、針が抜けちゃったって看護師さんに言いに行ってくるから」
俺はズボンのポケットから、ハンドタオルを出して茉莉の顔をかけると病室の部屋を出た