真面目なあたしは悪MANに恋をする
どんな時でも、マサ君は茉莉の近くには行かない

茉莉の隣しか空いてない状況でも、マサ君は絶対に近寄らなかった

茉莉はそんなマサ君を悲しい目で追っている

どんなに遠くにマサ君がいても、ケンケンではなくてマサ君を見ていた

それが余計、ケンケンの茉莉にたいする独占欲を倍増させているように感じさせた

「マサはさ…知ってるから。ケンの過去を。たぶん、僕よりもケンから心の内を聞いてたと思うよ」

「じゃあ、マサ君は、茉莉が『真里』さんの身代りにされてるってわかってるの?」

「ん、たぶんね」

でも茉莉は知らない

ケンケンの過去を知らないし、誰も話してない

だけど茉莉は、ケンケンが誰かの身代りにしているのに気がついている

自分と通して、果たせなかった想いを…恋愛をしているって理解してる

理解してても、離れられない

ケンケンの独占欲が強すぎて、茉莉に離れる隙を与えないから

学校への送り迎えも、ケンケンはしている

茉莉はもうずいぶんと家に帰れてないって言ってた

母親は、もう呆れてるみたいで何も言ってこないらしい

茉莉への期待はもう薄れているようで、今は高校生の妹に注がれてるって苦笑してた

「どうしてマサ君は…何もしないの? 茉莉もマサ君も…両想いなんだよね?」

「たぶんね。今、ケンから茉莉を奪っても良いことなんて何もないってわかってるからじゃない? 茉莉が本当に嫌がってて、マサに泣きつくようなら赤族を敵にまわしても茉莉を守ろうとするだろうけど…今のケンは僕も怖いと思うよ」

片岡君が肩をすくめた

「どうにかしなくちゃだけど…どうすることが最善の方法なのか。僕にはわからない」

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