真面目なあたしは悪MANに恋をする
茉莉と目が合ったケンケンが、ダッシュした

急に走り出したケンケンに、片岡君も慌てて後を追いかけた

何がやばいって…茉莉との二人きりの時間がなくなるのがやばい

あたしと二人きりだから…と、ケンケンは茉莉から離れることを渋々承諾してくれたのに

こんな状況を目の当たりにしたら、ケンケンはますます茉莉から離れなくなるし

茉莉がもっと息苦しい生活になってしまう

「何? どうしたの?」

一人状況を飲み込めていない寺島君が、首をかしげた

「怪我をしたくなかったら、逃げたほうがいいと思うよ」

あたしは寺島君たちに口を開く

「私もそう思う。今の健太郎はヤバい」

茉莉も頷いた

「なんだよ、それ…意味わかんねえよ」

寺島君がけらけらと笑い声をたてる

寺島君はケンケンを知ってるんだよね

直接、ツナギを着ているケンケンを見てる

あのときのケンケンとは違う

もっと怖い

もっと狂暴になったケンケンが、寺島君を襲うよ?

鞄を返しに来てくれたようなケンケンじゃないんだから

「あっれぇ…寺島君じゃん」

寺島君の背後から近づいたケンケンが、異様に明るい声で話しかけてきた

寺島君がびくっと反応する

肌と耳で、赤族の恐怖を感じたのだろう

振り返ることもなく身体を氷のように固くして、顔が青くなっていくのがわかった

だから・・・言ったのに

逃げた方がいいいって
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