真面目なあたしは悪MANに恋をする
「俺を傷つけた」

僕はくすっと笑うと、本を閉じて寺島の顔を見た

「馬鹿じゃないの?」

僕の背後から、マサの声がしてきた

え? もう来たの? 早くないですか?

「自分が傷つけたられたなんて、恥ずかしい台詞を言えたものですよね。男のくせに。格好悪い」

マサが僕の隣の椅子に腰をおろすと、ショートパンツから出ている白い足を組んだ

マサらしい毒舌に、なんだか僕はほっとした

「弱い男ってさ。他人を簡単に傷付けられるくせに、自分が傷つくのには過剰に反応するよね」

「なんだよ!」

寺島が目をつり上げて、不機嫌な声をあげた

「ほらね」

マサがにこっと笑った

「早かったな」

僕はマサの横顔を見た

「あれ? 言ってませんでした? 俺、ここの服屋でバイトしてるって」

「え?」

そうだったのか

なら早い登場に納得できる

服装がいつもより派手なのも頷ける
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