真面目なあたしは悪MANに恋をする
私は、化粧ポーチを取り出すと、グロスを唇に塗った

化粧は好き

自分に自信が持てるから

違う自分になれる気がして、元気になれるから

ほら、グロスを塗っただけで顔の印象が変わるでしょ

明るい表情に見えるだけで、自分の気持ちも明るくできる

私は、目をしっかりと開けると女子トイレを後にした

「まーりぃ」

トイレから出ると、後ろから肩を抱かれた

横を見ると、寺島君が私の肩に手を置いてにこにこと笑っていた

「何?」

私は寺島君から視線をそらして、前を見た

多くの人が、店と店との間を行き交っている

「俺さぁ、茉莉が好きなんだよね。どうして連絡先を変えちゃったのかな?」

「前の携帯が壊れちゃったから」

「じゃあ、今の…教えてよ」

「連絡しても、出てくれないのに?」

「あのときは、入院してたんだよ。フードコートにいた奴らにボコられてさ。バイト帰りの俺に、いきなり襲いかかってきたんだ。やっぱ族は野蛮だよなあ」

入院?

ぼこられた?

なんで? それで連絡が取れなかったの?

私がどんなに悩んだか…知らないくせに

「でさ、携帯アドレス」

私は携帯を出すと、赤外線でお互いのアドレスを交換した

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