真面目なあたしは悪MANに恋をする
「ね。捜さないの?」

あたしはマサ君の背中に問いかけた

「捜す理由がないよね」

マサ君は振り返らずに答えた

「理由ならあるよ! マサ君は茉莉が好きでしょ?」

マサ君の作業している手が止まった

「好きだよ。でも捜さない」

マサ君が小さな声で呟いた

「どうして?」

なんで捜さないの?

茉莉が好きなら、捜すべきだよ
茉莉が心配じゃないの?

茉莉に会いたいと思わないの?
「自ら姿を消した人を捜してどうするのさ。追い詰めるだけじゃない?」

マサ君が振り返る

なんだか、茉莉を突き放してるように見えるよ

茉莉が好きなら、追いかけてほしいよ

「茉莉なら平気だよ。たぶんだけど。俺は追いかけないよ。そういう主義じゃないから」

マサ君が肩をすくめて、微笑んだ

「寂しくない?」

「寂しいよね」
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