真面目なあたしは悪MANに恋をする
「マサは捜さないと思うよ」

バイトが終わった夜の公園で、片岡君もはっきりと言葉にした

「え? だって…」

「そりゃあ、マサだって心配しているだろうし。捜したい気持ちだってあると思う。だけどマサは捜さない。マサ自身、自ら家を出て姿を消した経験者だからね」

片岡君があたしの頭に撫でると、額にキスをした

「大丈夫だよ。マサも茉莉も、きっと大丈夫。生きる道が重ならなくても、二人はきっと心のどこかでつながってる」

「そんなの意味ないよ」

「かもしれないね」

片岡君が苦笑した

困ってると言ったほうがいいかもしれない

「茉莉にも、マサにもきっと時間が必要なんだ」

「どうして?」

「居場所が欲しいから。ここに自分がいていいんだって確証がない限り、二人は触れ合えないよ」

片岡君があたしの肩を抱きしめてくれた

「僕も…そうだったから。居場所が欲しかった。ずっと、ずっとね。二人の気持ちは、よくわかるよ」

あたしの額の上から、片岡君の声が聞こえる

寂しそうな声だった

「今は、あるでしょ?」

「うん。あるよ」

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