真面目なあたしは悪MANに恋をする
片岡君の優しい声に、あたしは瞼を閉じた

キスがしたい…そう思ったときに、片岡君の携帯が鳴った

「あ…ごめん」

片岡君が、あたしから離れると携帯を開いて、目をしかめた

「え?」

驚いた声をあげながら、片岡君がゆっくりと携帯に耳をつけた

「こ…浩太?」

片岡君は恐る恐る声を出す

『賢悟か? 賢悟の携帯であってるか?』

携帯の中から、落ち着きのない男の声が聞こえてくる

「ああ。片岡賢悟だよ」

『良かったぁ。携帯、替えられてたらどうしようかと思ってたんだ。佑介が、いなくなったんだ。数日前にさ…翔の姉の千秋と歩いているのを見かけたんだ。んで、ついさっきメールが来てさ…『助けてくれ』って。俺、どうしたらいいかわからなくて』

携帯の中から聞こえてくる男性の声が、震えている

泣いているのかな?

何かに脅えているのかな?

片岡君の目が細くなると、唇を噛み締めていた

「どこにいるのかわかってるの?」

『学校…中学の屋上って。メールにあったんだ…なあ、来てくれよ』

片岡君は鼻を鳴らすと、口元を緩めた

「嫌だ。行かない」

え? 片岡君?

『賢悟! 佑介が…いなくなったんだぞ』

「嘘はやめろよ。青族の奴らに脅されて電話してるんだろ? 青の族長の女って、翔の姉貴だって噂は耳にしてるし。どうせ、弟を殺した張本人を呼び出せ…とか言われてるんだろ?」

片岡君? なんでそこまでわかってるの?

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