真面目なあたしは悪MANに恋をする
あたしは心配そうに片岡君を見つめた

片岡君はまっすぐに前を見て、あたしとは目を合わそうとはしなかった

『なーんだ。バレてんだ』

携帯から女性の声が聞こえてきた

「バレてるよ。だって貴女が、僕に復讐したくて青の族長を落としてるって耳にしたことがあるからね。中学の屋上に行けばいいのかな?」

『あら、来てくれるんだ』

「来てほしくて、やったのに…僕が行かなくてどうするの?」

『まあ、そうなんだけどさ。臆病者が、あっさりと来るとは思わなくてさ』

「逃げていいなら…逃げるけど」

『逃がさないよ』

「だろうね。じゃ、今からそっちに行くから」

片岡君は、電話を切った

携帯を鞄の中に入れると、あたしに笑顔を見せた

「片岡君……」

「大丈夫だよ。中学のときに助けられなかった友人のお姉さんから…呼び出されただけだから」

片岡君は悲しそうに微笑んだ

「全然、大丈夫じゃないよ!」

「いつかは復讐されるとは思ってたけど…青族を味方につけるとはね」

「お姉さんって人は、片岡君が赤の族長だって知ってるの?」

「いや。知らないと思うよ。族長としての僕の名は、あまり知られてないから」

片岡君は公園の隅に停めてある原付に、歩き始めた

あたしも片岡君の後を追いかけた

「何時になるか…わからないけど。家に帰ったら、メールするよ」

片岡君が、あたしの髪を触りながら口を開いた

きっとあたしの心配そうな顔を見て、言ってくれたのだろう
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