真面目なあたしは悪MANに恋をする
僕は千明の言葉に、ただ頬笑みを返すしかなかった

僕が何を言っても、千明の心を癒す言葉なんてないから

うわべだけの繕った言葉ほど、千明の心を傷つける

僕がどんなにつらい思いをしたと言ったところで、それは千明には関係のないことで、千明が知りたいのは……

千明が見たいのは、僕の辛く苦しむ顔だけ

翔を失った家族の悲しみや苦しみは、僕にはわからない

僕が、してあげられることなんて何もない

許してほしいとは思わない

僕がいけないかったのはわかってるから

僕がもっと力があって、翔を引き上げる体力があれば…未来は変わっていた

「お父様がお金持ちで良かったわよね。この屋上で起きた事実を、まるで夢での出来事だったみたいにできるんだから」

千明が、腕を組んで僕を睨んだ

僕の横に、青の人間が取り囲む

ニヤニヤと笑って、一人が僕の肩をど突いた

浩太と佑介も僕の横に立って、笑っていた

こいつら…あの時から全く成長してないんだな

同じことを繰り返しているんだ

目の前で、同級生の命が消えたのを見ているのに…翔の死に何も感じなかったんだな

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