真面目なあたしは悪MANに恋をする
「そうそう、友人の言うことは聞くもんだぜ?」

ルイがにやっと笑って、ナイフをペロッと舐めた

僕を馬鹿にしないでもらいたいね

いつまでも過去の人間に、しがみついているほど、弱い人間じゃないんだ

人を傷つけて笑っていられるような友人なんて、僕にはいないんだよ

「友人? いったい誰ことだ? ここに僕の友人と呼べるような人間なんていない」

「賢悟っ!」

浩太がまた僕のシャツを掴んで、ぐいっと引っ張った

僕の肩が大きく揺れた

「やめろよ。僕を屋上から落として殺そうしたくせに。今更、友達ヅラされても困るんだよ。翔が僕を救ってくれなかったら、僕はお前らに殺されてたんだ」

「え? どういうこと?」

千明が驚いた顔をした

「そんなことどうでもいいんだよっ」

ルイが、前に出ようとした千明をどんっと押しのけた

千明の体がコンクリートの上に転がった

「俺の下っぱらをヤッておいて、無事で帰れると思うなよ」

「無事に帰るつもりでいるけど、何か問題ある?」

「貴様ぁ」

ルイの顔が怒りで、固くなった

「おいっ、マジ、死ぬ気かよ」

浩太が呆れたように、僕の背後で呟いた

「聞こえなかったの? 君も馬鹿だよね。無事に帰るって言ったじゃん」

浩太のさらに後ろから、聞きなれた声が聞こえた

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