真面目なあたしは悪MANに恋をする
「どうかな? ケンのせいとは限らないでしょ。ちょっとは関係してるとは、思うけどね。茉莉にも茉莉なりの考えがあるんだよ」

俺は、塾の中で生徒たちと楽しそうに会話している茉莉の姿を思い出した

「お前、捜してよ」

ケンが小さな声で、呟いた

「俺が?」

「そうじゃないと、俺が嫌なんだ」

「なんだよ、それ。我がままだよね」

ケンが苦笑して、こめかみを指先で掻いた

「マサが茉莉と付き合ってくれないとさ…俺、また同じ過ちをおかしそうだよ」

「俺のせいにしないでよね。茉莉もケンも同じ過ちは犯さないでしょ。たとえ再び関係を持ったとしても…それは以前とは違う形だよ。同じじゃない」

「言いきるなよ。会えるかもわけんねえのに」

「茉莉は近くにいるよ。きっと」

ぱっと視線があがるケンに、俺は微笑んだ

「マサ…もしかして、お前…」

「さあね」

俺は立ち上がると、押入れに入っている衣装ケースからジャージを出して、ケンに渡した

「これ、着て寝なよ」

「なあ、会いに行ってやれよ」

ケンがジャージを受け取りながら、俺に口を開いた
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