真面目なあたしは悪MANに恋をする
俺は首を横に振る

「行かない」

「行けよ」

「どうして、みんな…俺に言うのかな?」

「お前が適任だからだよ」

やめてよ…俺が適任ってなんだよ

意味がわからないよね

「抱いたなら…最後まで責任持てよ」

ケンがぼそっと言い放った

「いったい、いつの話?」

俺は、笑うと小さなテーブルを部屋の隅にやった

布団をふた組敷くと、俺は布団の上にごろんと横になった

「マサ…頼むよ」

部屋の隅で、ツナギのままじっとしていたケンが頭を深く下げた

畳に額をこすりつけるようにしている

「やめてよね。そういうの…」

俺は起き上がると、ケンの土下座姿を数秒ほど見た後に、視線をそらした

「俺に他の女がいたら、どうするのさ」

「いるのか?」

「さあ」

俺は肩を持ちあげて、笑顔を作った

「マサはそういう男じゃないだろ」

頭をあげたケンが、にやりと笑う

「中途半端な関係のまま、終わりにできるようなヤツじゃない」

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