真面目なあたしは悪MANに恋をする
「やめてよね。俺は、俺に背を向けた人間を追いかけるなんてしない主義なんだ」

「追いかけたいんだろ」

「追いかけない」

俺はケンをまっすぐに見つめて、答えた

「じゃあ、俺に茉莉の居場所を教えてくれよ。俺が茉莉に会いに行く」

ケンの真剣な眼差しが痛いくらいに、突き刺さった

ケンが会いに行く

茉莉に…会いに行く

俺じゃなくて…ケンが…

「いいよ。会いに行っておいでよ」

俺がほほ笑むと同時に、ケンの拳が飛んできた

俺の頬骨に痛みが響いた

「いい加減にしろよ。強がるな。余裕がある男でいたいのかよ。姿を消した茉莉の気持ちを理解できるのはお前だろ。家を出たとき、お前はどんな気持ちだった? 完全に家族に見放してもらいたかったのかよ」

俺は唇を噛みしめた

そうだよ…見放してもらいたくなかったさ

兄さんに事実を話してもらいたかったよね

高校に通えたのは、俺が兄の名前で受験したおかげだってさ

家に戻って来いって言ってもらいたかったさ

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