真面目なあたしは悪MANに恋をする

茉莉side

―茉莉side―


「お疲れ様でしたっ!」

塾の電気を消して、入口のシャッターを下ろした塾長を見てから、バイトの先生たちが挨拶をし合った

私もお辞儀をすると、家に帰ろうと歩きだそうとした

「茉莉先生、これから一杯どう?」

右手でコップを作って、ジェスチャーをして木下先生が誘ってきた

「あ…でも」

木下先生は、21歳の大学生で、私と同じ中学受験を控えている小学6年の授業を見ていた

私は国語、木下先生は算数を教えている

木下先生はもう3年目で、バイトを始めて2か月目の私は世話になりっぱなしだった

「夕食、食べながら…ね。いいでしょ」

木下先生は私の肩に手を置く

私は苦笑すると、木下先生の手を払えずに困った顔をした

他の先生に、木下先生は女性にだらしないから気をつけるように言われたのにな

困ったな

同じクラスの担当だし、いろいろと教えてもらって世話になっている分、断りづらい

塾のバイトで、気まずくなって、辞めることになんてなりたくない

一人暮らししているのに、お金の収入がなくなるのは困る

だからって、木下先生の誘いは嫌だ

だって、これはそういう誘いでしょ?

お酒を一杯で、「はい。さよなら」になんてなるはずがない

お酒はただの最初の通過儀式みたいなもので…それから先がある
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