真面目なあたしは悪MANに恋をする
「そうやってジラすのが好き?」

木下先生が、私の前に顔を出すとにこっと笑った

違う…そうじゃない

もう…気持ちのない行為はしたくないだけ

「俺、ジラすのは好きだけど。ジラされるのは、好きじゃないんだよね」

だから、何よ…私はジラしてないし、ジラすつもりもない

「ね、いいじゃん。お互いに気持ち良くなるんだし」

路地裏から、一台のバイクが飛び出してきて、木下先生の言葉が掻き消された

「え?」

私は木下先生の言葉が聞こえず、首をかしげた

「だから…いいよね?」

木下先生が、私の両肩を掴んでキスをようとしてきた

「ちょ…まっ…」

私は顔を横に背けて、木下先生の唇から逃れようとした

バイクの前輪が、木下先生と私の間に突っ込んでくる

木下先生はバイクに驚いたのか、私の身体を突き飛ばした

私はガードレールにお尻をぶつけると、バイクのほうに視線を動かした
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