真面目なあたしは悪MANに恋をする
ライトが眩しくて、バイクを見ることができない

でもなんとなく、わかる

あのバイクに乗っている人が誰なのか

私は胸が苦しくなって、呼吸の仕方が突然わからなくなった

「あ…危ないじゃないか!」

木下先生が、突っ込んできたバイクドライバーに向かって怒鳴った

バイクのエンジン音が消える

ライトも消えると、見たことのあるバイクが私の視界を支配した

ヘルメットで顔が隠れているのに、まっすぐに見つめられているのがわかる

痛いくらいに視線を感じた

「おいっ。聞いているのかよ」

木下先生が、ずかずかとバイクに跨っている男に近づいて行った

「聞いてるよ。煩いよ、あんた」

ヘルメットを取ったマサが、木下先生を睨んだ

金髪にグリーンの目が、木下先生を見ている

木下先生が足を止めると、一歩後ろにさがった

「茉莉、行くよ」

マサが脱いだヘルメットを私に投げてきた

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