真面目なあたしは悪MANに恋をする
私はマサの腕に目がいった

「怪我…」

思わず声に出していた

マサは腕の切り傷を見ると、にこっと笑った

「さっきね。青の族長に斬られちゃった」

「え?」

「手当てしてくれる? 痛いんだよね」

私は大きく頷いた

「良かった。これでバイクから降りる理由ができた」

マサがにっこりと笑って、ヘルメットを外した

「え?」

「このまま帰りたくないのに、茉莉の家にあがる理由もなくてさ。どうしようかと思った。たまには怪我をしてみるのもいいね」

マサがバイクから降りると、ぎゅっと私の肩を抱きしめた

「なんで姿を消したんだよ。俺も、ケンも葉南さんも…心配したんだ」

「うん、ごめん」

「謝る前に理由を聞かせてよ。俺、すごい不安だったんだから」

「うん、ごめ…ん。これ以上、居場所がないって再確認するのが辛くて。葉南には、片岡君って人の隣にもう居場所がある。何の違和感もなく、隣にいられるのを見ているのが辛くて。私にはどこにもないんだって、見ていると余計に感じたから」

「俺の隣じゃダメ?」

マサの優しい声が、耳に入ってくる

「ありがとう。嬉しい」

私はマサの肩に、頬を寄せた

マサの隣に、私の居場所ができる

私がマサの隣にいて、いいんだね
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