真面目なあたしは悪MANに恋をする
「はあ」とまたため息をつくと、温かい手で頭をなでられた

振り返ると、片岡君がさびしそうな顔をしている

「怒ってるみたいだったね」

「聞こえてた?」

「うん。家まで送っていくよ」

「でも…」

「店番は僕一人で平気だし、少しくらい店を開けても平気でしょ。万年、暇な店だから」

あたしは頷くと、携帯を鞄の中にしまった

ホントは帰りたくない

もっと片岡君と一緒にいたいよ

それに怒られるってわかっているのに、家に帰るなんて…嫌だよ

せっかく片岡君と幸せな時間を過ごしていたのにな

「僕も謝るよ」

「え?」

「だって、僕が引きとめたから…ね」

片岡君がにこっと笑った

「ううん。あたしが片岡君のそばに居たかったから」

「ありがと。でもきちんと挨拶して、謝らないとね」

片岡君たベッドから出ると、クローゼットを開けた

ありがとう、片岡君

嬉しいよ

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